広島市内を移動するときに便利な広島電鉄ですが、初めて利用する方にとっては「どの電車に乗ればいい?」「途中で乗り換えるときはどうすればいい?」と迷うこともあるでしょう。
広島電鉄には複数の路線があり、目的地によっては途中の電停で別の路線へ乗り換える必要があります。特に、広島駅や八丁堀、紙屋町、十日市町、広電西広島などは複数の路線が集まるため、乗り換えのポイントを知っておくとスムーズです。
また、広島電鉄には一定の条件を満たす場合、乗車電停から目的地まで通しの運賃で利用できる「乗換制度」があります。交通系ICカードやMOBIRY DAYSを利用する場合と、現金で利用する場合では乗り換え時の手続きも異なります。
この記事では、広電に乗り慣れていない方にもわかりやすいように、路線番号の確認方法から実際の乗り換え手順、支払い方法ごとの注意点、追加運賃が発生するケースまで詳しく解説します。広島の街を走る路面電車をもっと身近に感じられる「広電沿線ストーリー」とともに、広島電鉄を便利に利用するための基本を確認していきましょう。
広島電鉄を乗り換える前に知っておきたい基本

広島電鉄で乗り換える際は、まず「どの路線に乗るのか」「どの電停で乗り換えるのか」「乗り換え制度が利用できるのか」の3点を確認しておくと安心です。
広島電鉄には本線、宇品線、江波線、横川線、皆実線、白島線、宮島線といった路線名があり、複数の路線が接続する電停もあります。大まかには、八丁堀で白島線、紙屋町で宇品線、十日市町で横川線、土橋で江波線、広電西広島で宮島線へそれぞれ乗り換えられます。実際にどの系統番号(1号線〜9号線など)がどの区間を走るかはダイヤ改正で見直されることがあるため、乗車前に電停の案内表示や路線図で確認すると安心です。
ただし、電車が同じ方向へ走っているように見えても、すべての乗り換えが「乗換制度」の対象になるわけではありません。広島電鉄では、直通する運行系統がない場合や、指定された電停で乗り換えることで目的地までの電車の本数が増える場合などに乗換制度を利用できます。
路線番号と行き先を確認しよう
広島電鉄の電車に乗るときは、車両の路線番号と行き先を確認しましょう。
広電の電車には「1号線」「2号線」「3号線」などの番号が設定されており、同じ電停から複数の行き先へ向かう電車が発着する場合があります。たとえば広電西広島や紙屋町のように複数の系統が乗り入れる電停では、「広島港方面だから乗れば大丈夫」と判断するのではなく、路線番号と行き先の両方を確認することがポイントです。
特に初めて訪れる場所へ向かう場合は、乗車前に広島電鉄の路線図や時刻検索で経路を確認しておくと、乗り換え時の迷いを減らせます。
広島電鉄の公式ホームページで路線番号を確認する
▶︎広島電鉄電停ガイド
乗り換えと途中下車の違いに注意しよう
「電車を途中で降りて、別の電車に乗る」という点では、乗り換えと途中下車は似ていますが、広島電鉄では扱いが異なります。
乗換制度は、対象となる電停で別の電車へ乗り継ぎ、乗車電停から目的地までを通しの運賃として扱うための制度です。一方、単に目的地までの移動を中断するために電車を降りる場合は、乗換制度として扱われるとは限りません。
「電車を途中で降りて、別の電車に乗る」という点では、乗り換えと途中下車は似ていますが、広島電鉄では扱いが異なります。違いを表にまとめました。
| 比較ポイント | 乗り換え | 途中下車 |
|---|---|---|
| 意味 | 目的地まで別の路線に乗り継ぐこと | 移動をいったん中断して電車を降りること |
| 利用できる電停 | 広電が指定する「乗換指定電停」のみ | 特に決まりはない |
| 運賃の扱い | 条件を満たせば通しの運賃(乗換制度) | 基本は降りた時点で運賃が確定 |
乗換制度が使えるのは、広島電鉄が指定する「乗換指定電停」でのみです。後戻りになる乗り換えや、乗ってきた電車のまま目的地に行ける場合は対象外。「降りれば自動的に乗り換え扱いになる」わけではないので、事前に経路を確認しておきましょう
乗換指定電停は以下の13箇所です。
- 稲荷町
- 八丁堀
- 紙屋町東※
- 紙屋町西※
- 本通※
- 十日市町
- 土橋
- 広電西広島
- 日赤病院前(広島港方面のみ)
- 広電本社前
- 皆実町六丁目
- 宇品二丁目
- 比治山下
紙屋町東、紙屋町西、本通は同一電停とみなしますので、乗換時の電停間の移動ができます。
広島電鉄の乗り換え方法を3ステップで解説

広島電鉄の乗り換え自体は、難しいものではありません。基本的には、乗車する電車を確認して、指定された電停で降り、目的地方面の電車へ乗り換えるだけです。ただし、支払い方法によって降車時の操作が変わるため、利用する乗車券やICカードに合わせて手続きを行いましょう。
ここでは、基本的な流れを3ステップで紹介します。
①乗車する電車の路線番号と行き先を確認する
まずは、現在地から目的地へ向かう電車を確認します。広島電鉄では複数の路線が市内中心部で交差するため、目的地によっては途中で別の路線へ乗り換えます。
乗車前に「何号線に乗るか」「どこで降りるか」「乗り換え後は何号線に乗るか」を確認しておくと安心です。
②乗り換える電停で電車を降りる
目的の乗換電停に到着したら、電車を降ります。
ICカードなどを利用している場合は、乗車時だけでなく降車時にもリーダーへカードをタッチする必要があります。なお、2026年7月1日からはICOCAなどの交通系ICカード・WAONも、MOBIRY DAYSリーダーで乗車時・降車時の2回タッチする方式に変更されました。これにより大人1人利用の場合は全てのドアから降車できるようになっています(MOBIRY DAYSをすでに利用している方の使い方自体に変更はありません)。
乗換制度を利用する場合は、乗り換え前の電車を降りてから一定時間以内に次の電車へ乗車する必要があります。交通系ICカード・MOBIRY DAYS・WAONの場合、乗換制度の有効時間は乗り換え前の電車を降りてから60分以内です。
③目的地へ向かう電車に乗り換える
最後に、目的地へ向かう電車へ乗り換えます。乗り換え先では、路線番号だけでなく行き先も確認しましょう。広島電鉄では同じ方面へ向かうように見えても、途中で別の場所へ分岐する電車があります。「乗り換え電停に着いたから、とりあえず次に来た電車へ乗る」のではなく、目的地が表示されているか確認してから乗車すると安心です。
【支払い方法別】広島電鉄を乗り換える際の方法

広島電鉄では、交通系ICカード、MOBIRY DAYS、WAON、現金などを利用できます。2025年3月29日にICカード「PASPY」のサービスが終了しており、現在はこれらの方法に変わっています。乗換制度を利用する場合は、支払い方法によって手順が異なるため注意しましょう。
交通系ICカードを利用する場合
ICOCA、Suica、PASMO、Kitaca、manaca、TOICA、はやかけん、nimocaなど、全国相互利用が可能な交通系ICカードを利用する場合は、乗車時と降車時にリーダーへタッチします(PiTaPaは対象外です)。WAONも利用できますが、定率割引や乗継割引などの一部サービスは対象外となります。
乗換制度を利用するときも、最初の電車と乗り換え後の電車のそれぞれで、乗車時・降車時のタッチが必要です。正常に読み取りができていない場合、乗換制度が適用されないことがあるため、タッチ音や画面表示などを確認しましょう。大人1人で利用する場合、乗換運賃は自動的に精算されるため、基本的に乗務員へ申告する必要はありません。
また、広島電鉄の市内線では「市内線再乗車サービス」も利用できます。降車した停留場から60分以内に、同じ停留場から後戻りにならない方面の電車へ再乗車する場合、引き去りなしで再乗車できるサービスです。
市内線再乗車サービスの仕組み
MOBIRY DAYS、交通系ICカード、WAONを利用している場合、市内線の停留場であれば、降車後60分以内に、降車した停留場と同じ停留場から後戻りにならない方面の電車に再乗車すると、引き去りなしで乗り継げる「市内線再乗車サービス」があります。乗り換えとは別の仕組みで、途中下車して用事を済ませたあと同じ場所から旅を再開するようなケースに向いています。
適用される例と、適用されない例を見てみましょう。
| ◯ 適用される例 | 流れ | ポイント |
| 市内線で降車・再乗車する場合 | 江波(220円)→紙屋町西で降車→60分以内に再乗車→広電本社前(0円) | 後戻りとならない電車に再乗車する |
| 市内線で降車・再乗車して宮島線内で降車する場合 | 袋町(220円)→原爆ドーム前で降車→60分以内に再乗車→広電宮島口(0円) | 降車した電停から必ず再乗車する |
| 宮島線内から乗車して市内線で降車・再乗車する場合 | 広電五日市(220円)→八丁堀で降車→60分以内に再乗車→広島駅(0円) | 市内線の電停で必ず再乗車する |
| × 適用されない例 | 流れ | ポイント |
| すべての乗降時にタッチしなかった場合 | 本川町(220円)→本通で降車(タッチなし)→60分以内に再乗車→御幸橋(220円) | 乗り降りのたびに必ずタッチする |
| 降車後60分以上経過して再乗車した場合 | 江波(220円)→紙屋町西で降車→90分後に再乗車→広電本社前(220円) | 60分以内に再乗車する |
| 後戻りとなる電車に再乗車した場合 | 広島駅(220円)→紙屋町西で降車→60分以内に再乗車→八丁堀(220円) | 後戻りにならない電車に乗る |
| 宮島線内で降車・再乗車した場合 | 広電宮島口(200円)→楽々園で降車→60分以内に再乗車→原爆ドーム前(220円) | 市内線の電停で降車・再乗車する(宮島線単独の利用は対象外) |
| 降車した電停と異なる電停から再乗車した場合 | 広島駅(220円)→八丁堀で降車→60分以内に立町から乗車→袋町(220円) | 降車した電停と同じ電停から乗る(紙屋町東・紙屋町西・本通は同一電停扱い) |
このサービスを利用するときの注意点は次のとおりです。
- 乗車・降車のたびに、MOBIRY DAYS専用ICカード、交通系ICカード、WAON、MOBIRY DAYS QRコードのいずれかを必ずリーダーへタッチ(読み取り)すること
- 2回以上の乗り継ぎにも適用される
- 現金利用の場合は対象外(現金は電車乗換券を使う通常の乗換制度が対象)
- 降車時と異なる人数・割引条件で再乗車した場合は対象外
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
現金で支払う場合
現金で乗り換える場合は、ICカードよりも手続きが増えます。
まず、最初の電車を降りる際に運賃を支払います。その際、乗務員へ乗り換えを申告し、「電車乗換券」を受け取ります。その後、乗り換え先の電車へ乗車し、目的地で降りる際に運賃箱へ「電車乗換券」を入れます。
| 01 | 最初の電車を降りる | 運賃を支払い、乗務員に「乗り換えます」と伝える |
| 02 | 電車乗換券を受け取る | 乗務員から「電車乗換券」を受け取る |
| 03 | 乗り換え先の電車に乗る | 目的地で降りる際、乗換券を運賃箱へ入れる |
現金で支払う場合の注意点は次のとおりです。
「電車乗換券」は当日限り有効です。もらったらできるだけ早く乗り換え先の電車に乗りましょう。また、複数人で利用する場合や割引設定がある場合は、降車処理をする前に乗務員へ申し出る必要があります。
一日乗車券・デジタル乗車券を利用する場合
観光や沿線散策などで何度も電車を利用する場合は、一日乗車券などの乗り放題タイプの乗車券が便利です。現在は、電車を自由に乗り降りできる一日乗車乗船券・電車一日乗車券がスクラッチ式の紙の乗車券として販売されているほか、MOBIRY TRAVELによるデジタル乗車券(8時間・24時間の時間制など)も利用できます。
一日乗車券を利用する場合は、乗り換えのたびに通常運賃を支払う必要はありません。乗車券の種類に応じた方法で、乗務員や係員へ提示(またはQRコードを読み取ってもらう)だけで利用できます。
なお、以前販売されていた磁気カード式の「電車一日乗車券・一日乗車乗船券・宮島フリーパス」は現在は販売・利用ともに終了しており、手元に古いカードが残っている場合の払い戻し対応も2025年12月31日で終了しています。まだ使っていない古い磁気カードをお持ちの場合は注意してください。
広島電鉄の乗り換えで追加運賃はかかる?

広島電鉄の乗り換えでは、「乗り換えたら運賃が2回分かかるのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。
広島電鉄には、一定の条件を満たす場合に乗車電停から目的地まで通しの運賃で利用できる「乗換制度」があります。ただし、すべての乗り換えが対象になるわけではありません。乗り換える電停や経路、利用している乗車券によって扱いが変わるため、事前に確認することが大切です。
乗り換え制度を利用できるケース
乗換制度は、主に次のようなケースで利用できます。
ひとつは、乗車電停から目的地までの直通運行系統がない場合です。もうひとつは、乗換指定電停まで移動することで、目的地まで向かう電車の運行本数が増える場合です。たとえば、広島駅方面から白島方面へ向かう場合は八丁堀で乗り換えるルート、広島港方面へ向かう場合は紙屋町で乗り換えるルートなどがあります(具体的な系統番号はダイヤ改正で変わることがあるため、乗車前に確認してください)。
追加運賃が発生するケース
まず結論からいうと、現金や交通系ICカードで支払っている方は、宮島線をまたいで乗り継いでも運賃は変わりません。2025年2月1日の改定で、市内線・宮島線ともに大人240円の均一運賃になったためです。
注意が必要なのは、MOBIRY DAYSを利用している方だけです。MOBIRY DAYSには、宮島線内の特定区間だけに適用される「MOBIRY DAYS運賃」という特別な割引運賃があり、これは通常の定率割引(最大10%)よりさらに安くなることがあります。ただし、この2つの割引は重複しません。対象区間ならMOBIRY DAYS運賃が、対象外の区間なら定率割引だけが適用されます。
広島電鉄が公式に挙げている例を見てみましょう。
| 区間・支払い方法 | 運賃 | 理由 |
| 広電西広島→古江(MOBIRY DAYS) | 150円 | この区間はMOBIRY DAYS運賃の対象 |
| 広電西広島→古江(現金) | 240円 | 現金はMOBIRY DAYS運賃の対象外 |
| 古江→福島町(MOBIRY DAYS) | 220円 | この区間はMOBIRY DAYS運賃の対象外で、定率割引(10%引き)のみ適用 |
宮島線内でMOBIRY DAYSを利用する場合の注意点は次のとおりです。
ここに注意運賃の一部でも現金で支払うと、MOBIRY DAYS運賃は適用されません。また、区間ごとの正確な運賃はMOBIRY DAYS運賃表(広島電鉄公式)で確認できます。
また、次のいずれかに当てはまる場合は、乗り換えても通しの運賃にはならず、2回分の運賃がかかります。
- 乗ってきた電車でそのまま目的地に行けるのに、途中で別の電車に乗り換えた場合
- 乗ってきた方向へ引き返す「後戻り」の乗り換えをした場合
- 定期券・株主優待乗車券を利用している場合
乗り換えできる時間や電停を確認しよう
ここまで支払い方法ごとに紹介してきた乗り換えのルールを、時間制限を軸に一覧表にまとめました。
| 支払い方法 | 乗り換え可能な時間 | 乗り換え可能な電停 |
| 交通系ICカード・MOBIRY DAYS・WAON | 降車から60分以内 | 乗換指定電停(13箇所) |
| 現金(電車乗換券) | 当日限り | 乗換指定電停(13箇所) |
| 一日乗車券・デジタル乗車券 | 制限なし(乗り放題) | どの電停でも可 |
電停の詳しい一覧は前述の「乗換指定電停」をご確認ください。観光で広島を訪れる方はもちろん、普段から広電を利用する方も、この表を移動前にチェックしておくと安心です。
まとめ| 広島電鉄の乗り換え方法を覚えて便利に移動しよう

広島電鉄は、広島駅や紙屋町、八丁堀、十日市町、広電西広島などを中心に複数の路線がつながっており、目的地によっては途中で電車を乗り換える必要があります。
乗り換えの際は、まず路線番号と行き先を確認し、指定された電停で降車したうえで、目的地へ向かう電車へ乗り換えましょう。また、広島電鉄には一定の条件を満たすことで、乗車電停から目的地まで通しの運賃で利用できる乗換制度があります。交通系ICカードやMOBIRY DAYSを利用する場合は乗降時のタッチ、現金の場合は電車乗換券の受け取りなど、支払い方法によって手続きが異なる点には注意が必要です。
広島の街を走る路面電車は、単なる移動手段ではありません。沿線には観光スポットや飲食店、商業施設、住宅地などが広がり、電車に乗ることで広島の街のさまざまな表情に出会えます。「広電沿線ストーリー」では、そんな広島電鉄と沿線の街にまつわる情報を通して、普段の移動だけでは気づかなかった広島の魅力を紹介していきます。
広電を利用する際は、路線番号や行き先、乗換指定電停を事前に確認して、スムーズで快適な広島の電車旅を楽しんでみてください。

