2026年3月28日、広島電鉄に新しい「循環線」が誕生しました。
循環線は、広電本社前を起点に、市内中心部から的場町、比治山下、皆実町六丁目方面をぐるっと一周する路面電車です。内回りと外回りの2方向があり、平日・土休日の日中時間帯に運行されています。広島電鉄では、市内中心部へのアクセスだけでなく、沿線の観光名所を結び、広島の街を巡る新しい移動手段として位置付けています。
今回は、「広電沿線ストーリー」学生編集部が広島電鉄の循環線に乗車! 広電本社前から外回りで一周しながら、車窓から見える広島の街や、途中で立ち寄りたいスポットをご紹介します。
観光で広島を訪れる人はもちろん、普段から広電を利用している人にも「こんな景色があったんだ」と感じてもらえるような、循環線ならではの楽しみ方を見つけてみましょう。
広電「循環線」ってどんな路線?

広電の「循環線」は、2026年3月28日に開業した新しい路面電車の系統です。
路線番号は「L」で、内回りと外回りの2方向が設定されています。広島の中心部と南区方面をつなぐため、目的地へ向かうだけでなく、路面電車に乗って広島の街をぐるっと眺めるという楽しみ方ができるのが特徴です。
広電本社前を起点に市内中心部を一周
循環線は「広電本社前」を起点・終点とする一周ルートで、内回り・外回りの両方向で運行されています。
内回り:広電本社前 → 皆実町六丁目 → 比治山下 → 的場町 → 紙屋町東 → 広電本社前
外回り:広電本社前 → 紙屋町東 → 的場町 → 比治山下 → 皆実町六丁目 → 広電本社前
一周の距離は約7km、所要時間は約45分。運行時間は10時〜16時に限定されており、朝夕の通勤・通学ラッシュ時には走らないのもポイントです。運行本数は平日が約25分間隔で1日15本、土休日は約45分間隔で1日8本と、観光・お出かけ利用を想定した設定になっています。
| 系統番号 | L |
| 起点・終点 | 広電本社前 |
| 一周距離 | 約7km |
| 所要時間 | 約45分 |
| 運行時間 | 10:00〜16:00 |
| 運行本数 | 平日:約25分間隔(1日15本)/土休日:約45分間隔(1日8本) |
乗車前に知っておきたい運賃・支払い方法
広島電鉄の電車は、現在、大人240円の均一運賃が基本です。循環線も同じ運賃体系で利用できます。支払いには現金のほか、全国相互利用が可能な交通系ICカードやWAON、MOBIRY DAYSなどが利用できます。
MOBIRY DAYSを利用する場合は、電車の運賃に対して最大10%の定率割引が適用されるため、市内線では240円から220円になります。また、2026年7月1日から交通系ICカード・WAONの利用方法が変更されているため、現在の乗車方法を確認してから利用すると安心です。
「運賃・支払い方法」セクションに入れる比較表を作りました。
| 支払い方法 | 運賃(大人) | 割引 | 乗り方の注意点 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 240円 | なし | 乗車時に整理券を受け取り、降車時に運賃箱へ支払い |
| 交通系ICカード(ICOCA等)・WAON | 240円 | なし | 2026年7月1日から「タッチ&タッチ」に変更。乗車時・降車時の2回タッチが必要 |
| MOBIRY DAYS | 220円(市内線の定率割引適用時、最大10%引き) | 最大10%の定率割引 | 事前にアプリ登録が必要。循環線にも同じ割引が適用される |
広電本社前から外回りで一周スタート!

今回は、広電本社前から外回りの循環線に乗って一周してみます。
広電本社前を出発すると、まずは日赤病院前、鷹野橋、市役所前方面へ向かいます。ここから紙屋町・八丁堀方面へ進むにつれて、住宅地の雰囲気から徐々に広島市中心部らしい街並みへ変化していきます。
広電本社前~市役所前:市民の日常が見える区間
広電本社前を出発すると、日赤病院前、鷹野橋を経由して市役所前へ向かいます。このあたりは、観光地というよりも広島市民の暮らしが感じられるエリアです。病院や学校、商店、オフィスなどが並び、普段の広島の街を車窓から眺めることができます。
観光で広島を訪れると、どうしても有名な観光地に目が向きますが、こうした何気ない街並みも広島の魅力のひとつ。路面電車に揺られながら、地元の人が行き交う様子を眺めていると、少しだけ広島の日常に入り込んだような気分になります。
このエリアのおすすめスポット
広島市役所 屋上展望台
市役所前電停から歩いてすぐの広島市役所本庁舎には、実はあまり知られていない屋上展望台があります。16階までエレベーターで上がり、そこから階段で屋上へ出ると、広島市街を360度近く見渡せる眺望が広がります。観光地化されていない分、静かに景色を楽しめるのが魅力。ただし利用できるのは平日の日中だけなので、循環線の運行時間(10:00〜16:00)と合わせて訪れるなら平日がおすすめです。
| 名称 | 広島市役所 屋上展望台 |
| 住所 | 広島市中区国泰寺町1-6-34 |
| 営業時間 | 平日8:30〜17:15(土日祝は利用不可) |
| 料金 | 無料 |
※土日祝などは屋上が開放されていないため、訪問前に最新情報を確認しましょう。
中電前~紙屋町東:平和都市・広島を感じる中心部へ
市役所前を過ぎると、中電前、袋町、本通を経由して紙屋町東方面へ向かいます。このエリアは広島市の中心部にあたり、商業施設やオフィスなどが集まっています。また、平和記念公園にも近く、広島を訪れたなら一度は歩いておきたいエリアです。少し寄り道すれば、平和記念資料館や原爆ドームなど、広島の歴史を伝える場所にも足を運べます。
循環線を観光で利用するなら、このあたりで一度降車して街歩きを楽しむのもおすすめ。
また、紙屋町東から再び循環線に乗れば、八丁堀方面へ向かうことができます。「電車に乗り続けるだけ」ではなく、気になった街で一度降りてみる。そんな自由な楽しみ方ができるのも、循環線の魅力です。
このエリアのおすすめスポット
平和記念公園

中電前電停は、広島港方面から来る電車で「平和記念公園入口」とアナウンスされるほど、平和記念公園のすぐそばにある電停です。原爆ドームや平和記念資料館、慰霊碑などが集まるこの公園は、広島を訪れたらまず足を運びたい場所。入園はいつでも自由で、外観の見学であれば時間を気にせず立ち寄れます。循環線の車窓からでも、広島が「平和都市」であることを肌で感じられる区間です。
| 名称 | 平和記念公園 |
| 住所 | 広島市中区中島町1 |
| 営業時間 | 入園自由(原爆ドーム等は外観のみ) |
| 料金 | 無料 |
紙屋町シャレオ
紙屋町東電停の真下に広がるのが、地下街「紙屋町シャレオ」です。ファッションから雑貨、グルメまで約60店舗が集まるトレンドスポットで、地上を歩かずに紙屋町・本通エリアへアクセスできるのも便利なポイント。雨の日や暑い日・寒い日でも快適に過ごせるので、循環線途中の休憩スポットとしても使いやすい場所です。
| 名称 | 紙屋町シャレオ |
| 住所 | 広島市中区基町地下街100号 |
| 営業時間 | 店舗により異なる |
| 定休日 | 店舗により異なる |
立町~八丁堀:広島随一の繁華街を通過
紙屋町東を出発すると、立町を経由して八丁堀へ向かいます。八丁堀周辺は、百貨店や商業施設、飲食店などが集まる広島を代表する繁華街です。ショッピングを楽しみたいときはもちろん、カフェやスイーツのお店を探すのにもぴったり。また、八丁堀から胡町、銀山町方面へ進むと、中心部のにぎわいが少しずつ変化していきます。
銀山町~的場町:街の変化を車窓から楽しむ
銀山町は相生通りの東端に位置し、オフィスビルやマンションが密集するビジネス街です。かつては広島証券取引所(2000年廃止)があったこともあり、今も金融機関が多く残るエリアです。
的場町周辺は、駅前大橋ルートの開業によって路面電車のルートが大きく変化したエリアのひとつです。
2025年8月3日に駅前大橋ルートが開業した際には、一時休止していた的場町停留場も2026年3月28日の循環線開業に合わせて運行が再開されました。
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胡子神社
銀山町電停から少し歩くと、商売繁盛の神様「えべっさん」を祀る胡子神社があります。広島三大祭りのひとつ「胡子大祭」の舞台として知られ、毎年11月には多くの参拝客で賑わいます。オフィスビルが立ち並ぶ銀山町エリアの中に、ふと歴史を感じさせる神社が残っているのも、この区間ならではの発見です。
| 名称 | 胡子神社 |
| 住所 | 広島市中区胡町5-14 |
| 営業時間 | 参拝自由 |
| 料金 | 参拝無料 |
猿猴橋

的場町に近づく手前、猿猴川に架かるのが「猿猴橋」です。1925年に完成したこの橋は原爆の被害を受けながらもその姿を残し、2011年には土木学会の選奨土木遺産にも認定されました。ビルが立ち並ぶ的場町の少し手前に残る、被爆の記憶を伝える橋として、車窓から眺めるだけでも立ち止まりたくなるスポットです。
| 名称 | 猿猴橋 |
| 住所 | 広島市南区猿猴橋町・的場町(猿猴川) |
| 見学時間 | 自由(外観のみ) |
| 特徴 | 1925年完成の被爆橋梁、2011年選奨土木遺産 |
段原一丁目~比治山下:緑が近づく区間
的場町を過ぎて段原一丁目に近づくと、車窓の南東には比治山がそびえて見えてきます。段原一丁目の周辺は住宅街が中心ですが、路地に入ると骨董品店が並ぶ「段原骨董街」があり、散策好きな人には見逃せないスポットです。そして比治山下電停の周辺には、広島市現代美術館・広島市まんが図書館・比治山公園がまとまっており、比治山公園の緑と美術館・図書館の文化施設を一度に楽しめる、循環線の中でも観光的に外せない区間です。
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広島市まんが図書館
比治山公園の中にあるのが「広島市まんが図書館」です。漫画を中心とした蔵書を無料で楽しめる公立図書館で、比治山の緑に囲まれたロケーションも魅力。すぐ近くには広島市現代美術館もあるので、読書と散策、アートまで一度に楽しめる、循環線の中でも特に観光向けの区間です。
| 名称 | 広島市まんが図書館 |
| 住所 | 広島市南区比治山公園1-4 |
| 営業時間 | 10:00〜17:00 |
| 料金 | 入館無料(休館日:月曜、祝日の翌平日など) |
休館日は曜日だけでなく、祝日の翌日や図書整理日などもあるため、訪れる前に開館カレンダーを確認しておくと安心です。
皆実町六丁目~広電本社前:暮らしの街を走ってゴール
比治山下を過ぎて皆実町六丁目に入ると、車窓は再び住宅街の風景に戻ります。皆実町は南区の中でも比較的古くから発展してきた住宅地で、南区役所や進徳女子高等学校など地域の中枢機能が集まるエリアです。
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ゆめタウン広島
循環線のゴール手前、皆実町六丁目エリアにあるのが大型商業施設「ゆめタウン広島」です。かつて専売局の煙草工場があった場所に建てられたショッピングモールで、食品から専門店、フードコートまで揃っています。一周を終える前に小休憩したり、お土産を探したりするのにぴったりの場所です。
| 名称 | ゆめタウン広島 |
| 住所 | 広島市南区皆実町2-8-17 |
| 食品売場 | 9:00〜22:00 |
| 直営売場 | 9:00〜21:00 |
| 専門店 | 10:00〜21:00 |
| フードコート | 10:00〜21:00 |
営業時間は売場によって異なるため、目的の店舗がある場合は事前に確認しましょう。皆実町六丁目から広電本社前へ戻れば、今回の循環線一周は終了です。
まとめ|循環線は“広島の街そのもの”を楽しめる路線だった

広島電鉄の循環線は、観光名所を一直線に結ぶ路線ではなく、平和記念公園のある中心部、随一の繁華街、下町情緒の残るエリア、緑豊かな比治山、そして暮らしの街・皆実町までを約45分でぐるりと一周する、いわば”広島の街そのもの”を車窓から味わえる路線でした。的場町・段原一丁目の足を守るために生まれたという開業の背景も含めて、広島電鉄と広島の街の関わりを知るにはうってつけの一本です。被爆電車が走る日を狙って、ぜひ一周体験してみてください。
「広電沿線ストーリー」では、これからも広電に乗って、観光スポットだけでは見つけられない広島の街の魅力をご紹介していきます。
次の休日は、広電本社前から循環線に乗って、“まだ知らない広島”を探す一周旅に出かけてみてはいかがでしょうか。


