製鉄所や発電所、水処理施設などで使われる大きな機械。その内部では、長いシャフトや特殊なねじ、一つひとつ形の異なる金属部品が設備の動きを支えています。
広島県尾道市に拠点を置く株式会社三谷製作所は、そうした長尺・大型部品の精密加工を得意とする企業です。1918年の創業以来、尾道でものづくりを続け、職人の技術と大型設備を生かして、幅広い産業の部品製作に取り組んできました。この記事では、三谷製作所の事業内容や加工技術、品質を支える仕組み、地域との関わりをご紹介します。
ひろしまミライ企業図鑑 支援企業一覧株式会社三谷製作所について
株式会社三谷製作所は、長尺シャフト、特殊ねじ、大型部品などの精密加工を手がける会社です。製品ごとに大きさや形、求められる精度が異なる金属部品に向き合い、尾道市内の工場でものづくりを続けています。
向島にある本社工場に加え、尾道流通団地にも工場を構えています。長尺物や重量のある部品に対応するための設備を備え、加工する製品や工程に合わせて生産を行っています。
同社の部品が使われる分野は、製鉄・鉄鋼設備を中心に、発電、ポンプ、水処理、造船、鉄道、食品・医薬品の製造設備などさまざまです。完成した設備の外からは見えにくい部品もありますが、大きな機械を動かし続けるうえで欠かせない役割を担っています。
会社概要・アクセス
| 会社名 | 株式会社三谷製作所 |
| 代表者 | 代表取締役社長 三谷 晋一郎 |
| 創業 | 1918年4月 |
| 設立 | 1951年4月 |
| 事業内容 | 各種精密機械工作 |
| 本社・向島工場 | 〒722-0062 広島県尾道市向東町14745-22 |
| 尾道流通団地工場 | 〒722-0212 広島県尾道市美ノ郷町本郷字新本郷1-162 |
| 本社電話番号 | 0848-44-2000 |
| 公式サイト | https://onomichi-mitani.co.jp/ |
事業内容について
三谷製作所の仕事は、図面に描かれた形を金属から削り出すだけではありません。部品の大きさや材質、使用される設備、必要な加工工程を踏まえ、完成までの進め方を考えることも重要な仕事です。
特に強みとしているのが、長尺シャフト、特殊ねじ、大型部品の加工です。ここでは、同社が手がける代表的な分野をご紹介します。
三谷製作所のホームページを見る長尺シャフトの加工

シャフトは、機械の回転や動力の伝達などに関わる軸状の部品です。三谷製作所では、製鉄所で使われるラインシャフトをはじめ、ポンプや発電設備に関わる軸など、長さと精度の両方が求められる製品を加工しています。
長い部材は、加工中に自らの重さでたわんだり、回転させたときに振れが生じたりします。短い部品と同じ方法で削るだけでは、狙った寸法や形状に仕上がるとは限りません。
そのため、部品の支え方や機械への固定方法、加工する順番を慎重に検討します。設備の性能に加え、長尺物特有の難しさを理解した職人の経験が、精度を支えています。
特殊ねじ・大型ねじの加工
三谷製作所は、一般的なねじとは形状や大きさが異なる、特殊ねじの加工にも取り組んでいます。公式サイトでは、高圧環境で使用される「のこ歯ねじ」の加工も紹介されています。
特殊ねじでは、図面で指定された寸法だけでなく、ねじの山と山の間隔や、組み合わさる部品との接触面にも精度が求められます。加工する部品が実際にどのような環境で使われるのかを考えながら、細かな条件を調整していく仕事です。
製品ごとに条件が違い、決まった手順だけでは対応しにくい。そうした難しさに向き合ってきたことが、三谷製作所の技術の一つとなっています。
幅広い産業を支える部品製作
同社の仕事には、製鉄・鉄鋼設備向けの部品が多くあります。一方で、発電設備や水処理設備、産業機械、造船、鉄道関連設備などにも加工実績があります。
たとえば、設備の一部が故障した際に必要になる交換部品や、既存の機械に合わせて製作する部品は、形状も条件も案件によって異なります。大型で加工できる設備が限られるものや、製作方法の検討から必要なものもあります。
三谷製作所は、特定の製品を大量につくる仕事に限らず、さまざまな設備で必要とされる部品の製作に対応しています。
材料調達から加工・検査まで
金属部品を完成させるまでには、材料の調達、切削、研磨、熱処理、表面処理、検査など、複数の工程が必要になる場合があります。
三谷製作所は、大型旋盤や五面加工機、研磨機などの自社設備を活用するとともに、熱処理やメッキなどは協力企業と連携しています。必要な工程を組み合わせ、材料調達から最終検査・出荷までを見据えて製作を進める体制です。
一つの部品を仕上げるために、社内の技術者と地域の協力企業がそれぞれの役割を担っています。
株式会社三谷製作所の特徴
長く、大きな部品を扱う三谷製作所。そのものづくりを支えているのは、加工設備だけではありません。職人の判断、生産工程を共有する仕組み、品質を確かめる体制が組み合わさっています。
三谷製作所のホームページを見る10メートル級の加工に対応する大型設備
三谷製作所では、目安として直径約1メートル、長さ約10メートル、重量約10トンの部品まで対応できる設備とノウハウを備えています。工場には、大型CNC旋盤や門型五面加工機、長尺物に対応する円筒研磨機などが導入されています。
大きな部品を加工できることに加え、仕上がりの精度を追求できることが重要です。部品をどの機械に載せ、どのように固定し、どの順番で削るか。設備を使いこなすための段取りも、製品の品質を左右します。
大型設備と、それを扱う人の技術。その両方を蓄積してきたことが、三谷製作所の強みです。
職人の判断と生産管理DX
三谷製作所では、生産管理システム「TECHS-BK」と生産スケジューラ「Seiryu」を活用しています。受注や作業の進み具合、設備ごとの予定などを整理し、工程を把握しやすくするための仕組みです。
工場内には工程を表示するモニターも設置され、朝のミーティングなどで、その日に誰がどの機械を担当するかを共有しています。製品ごとに工程の異なる仕事だからこそ、現場全体で予定を見渡せることが役立ちます。
ただし、システムだけで加工が完成するわけではありません。長い部品のたわみを見極め、切削中の音や振動から状態を読み取るのは、現場で働く人たちです。情報を共有する仕組みと職人の判断を組み合わせ、ものづくりを進めています。
工程ごとに品質を確かめる体制
長尺・大型部品では、加工途中の小さなずれが、最終的な仕上がりに影響することがあります。三谷製作所は、工程ごとの確認に加え、段取りや加工条件の記録、専任検査員による最終検査など、複数の段階で品質を確認しています。
また、2016年には品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」の認証を取得しました。過去の図面や加工条件、検査データも活用しながら、同じ部品の再製作や、工程の改善につなげています。
加工が難しい案件にも向き合う姿勢
「部品が大きく、加工先が見つからない」「以前依頼していた会社が廃業した」「図面はあるが、どのように製作すればよいか相談したい」。公式サイトでは、そうした困りごとを抱えた案件についても、まず状況を聞き、対応方法を検討する姿勢が示されています。
もちろん、加工の可否や納期は、製品の条件や工場の生産状況によって変わります。そのうえで、工程をどう組めるか、協力企業との連携が必要かを考える。難しい仕事に対しても、実現できる方法を探ることを大切にしています。
三谷製作所の採用・職場環境について
100年以上続く技術を、次の世代へどう受け継ぐか。三谷製作所は、人がいてこそものづくりが成り立つという考えのもと、社員の育成や働く環境づくりにも取り組んでいます。
三谷製作所のホームページを見る未経験から段階的に技術を学ぶ
同社の採用サイトでは、未経験で入社した場合も、工場のルールや安全の基礎を学んだうえで、先輩社員とともに仕事を覚えていく育成方針を紹介しています。最初から難しい加工を一人で任せるのではなく、できる作業を少しずつ増やしていく流れです。
大型の部品を扱う現場では、機械の操作だけでなく、安全な作業方法や周囲との連携も欠かせません。クレーンや玉掛けなど、業務に必要な資格の取得も会社として支援しています。
図面だけでは伝えきれない、音や振動から加工状態を読み取る感覚。そうした経験を現場で共有することも、技術継承の一部です。
安全と健康を大切にする職場づくり
重量のある部品や大型設備を扱うため、三谷製作所は安全を優先する考え方を掲げています。安全衛生委員会を設け、作業中に危険を感じた事例や改善案を共有しながら、設備や作業動線の見直しを進めています。
健康面でも、定期健康診断などに取り組んでいます。働く人が長く技術を磨き続けられるよう、安全・健康・働き方を合わせて考えていることが、同社の職場づくりの特徴です。
尾道の人と未来をつなぐ地域活動
三谷製作所は、工場でのものづくりに加え、地域の子どもたちが働くことを知る機会づくりにも参加しています。
向島では、地元企業が中学生に仕事について伝えるキャリア授業に関わっています。どのような仕事をしているのか、働く中で何が面白いのか。地域で働く大人の姿を伝えることで、子どもたちが将来を考えるきっかけをつくっています。
地元にどのような会社や仕事があるかを知ることは、進路を考えるうえでも大切な経験です。三谷製作所は、ものづくりの魅力を伝えながら、尾道で育つ次の世代との接点を広げています。
まとめ|尾道の職人技を、産業と次の世代へ
株式会社三谷製作所は、長尺シャフトや特殊ねじ、大型部品の精密加工を通じて、製鉄設備をはじめとする幅広い産業を支えています。
大きな部品を扱える設備、加工条件を見極める職人の技術、工程と品質を管理する仕組み。三谷製作所のものづくりは、それぞれを組み合わせることで成り立っています。
1918年の創業から尾道で培ってきた技術を生かし、人を育て、難しい加工にも挑み続ける。三谷製作所は、産業の現場と地域の未来を支える企業です。
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